中長期的な企業価値向上に向けたニフコのサステナビリティ経営
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために、サステナビリティを経営戦略の重要な柱として位置づけています。本メッセージは、投資家や取引先などの社外ステークホルダーの皆さまに対し、その意義や狙いを経営の視点からお伝えすることを目的としています。
社外取締役という独立した立場から、ガバナンスとサステナビリティを一体で捉える当社の考え方を語ることで、当社が目指す持続可能な経営の方向性をお示しします。
野々垣 好子(ののがき よしこ)

社外取締役
㈱サトー社外取締役
当社のサステナビリティへの取り組みを管轄するサステナビリティ委員会は、2025年度より、取締役会の諮問機関としての建付けから、経営会議において十分に議論を重ねたうえで取締役会に付議する形態へと見直され、より実務的かつ実効性のある推進体制が明確化されました。マテリアリティの選定も議論され、KPIの設定も着実に進展していると評価しています。
環境面においては、生産過程におけるCO₂排出量の削減や節電だけでなく、太陽光発電を導入し西日本最大規模の自己託送を実現するなど先進的な取り組みも進めております。CDPにおいてはCスコアという水準ながら、当社の事業特性や対応方針に沿った形で取り組みが進められています。Scope3への対応は技術的・構造的に難易度の高い課題ではありますが、当社としても慎重かつ段階的に対応を進めていると理解しています。
ニフコとしては、ここ数年、人的資本経営にも尽力しており、「アイデア"を"カタチ"にする会社」という長期ビジョンのもと、社会課題の解決を目指す事業ポートフォリオに適した人材の確保、そして個人の能力が最大限に発揮されるよう、ニフコ流のジョブ型制度の導入が進められています。トップ自らの発信を含む対話機会の創出、そして個人の生産性の向上が組織への貢献として可視化・フィードバックされる仕組みによって、社員のエンゲージメントを高める土壌が整備されつつあります。
こうした取り組みを確実に軌道に乗せていくため、指名・報酬・ガバナンス委員会では役員の定性評価においても人的資本の視点を取り入れた議論を行っております。取締役会においては、サステナビリティ経営の各側面を通じて企業価値を向上させるため、ESGの実行状況を適宜モニタリングするとともに、持続可能な社会への貢献と企業の成長の両立を支援していく所存です。
米谷 佳夫(こめたに よしお)

社外取締役
2024年度より社外取締役に就任し、指名・報酬・ガバナンス委員会に参加しています。サステナビリティ経営は重要議題のひとつであり、当社の企業価値向上に向け、活発に議論しております。
当社は、日本の基幹産業である自動車業界におけるサプライチェーン上の重要なプレーヤーであり、また高級寝具ブランドのシモンズ株式会社を傘下に抱えていることから、経営層を中心にサステナビリティ経営に関する意識は高く、社員への浸透も徐々に進められています。マテリアリティの特定を含め、必要な施策や社内制度は概ね整備されているといえます。
環境対応においては、CO2排出量削減については既に業界標準を超える取り組みが進んでいます。またマテリアリティのひとつとして「廃棄物ゼロ(サーキュラーエコノミー)への取り組み推進」を掲げ、廃棄物の低減や廃棄 物分別強化による有価物への転用を行っていますが、再生材を利活用するうえで必要な認証の整備など、業界全体として取り組むべき課題も多く、この分野での当社の社会的責任は今後益々大きくなると感じています。
当社は、「"アイデア"を"カタチ"にする」デザイン思考の会社であり、さまざまな顧客ニーズや社会課題に対し、製品開発を通じてきめ細かく迅速に対応できることが強みです。自動車分野以外でも、電池レスデバイスを活用した学校向けのソリューション開発など興味深い取り組みが現場主導で進められています。
また、「グローカル経営」を掲げ、海外拠点への権限移譲と外国人材の積極登用により、経営の効率化と意思決定の迅速化に効果が出始めており、多様な人材が活躍できる場の広がりを実感しています。一方で国内の女性管理職比率はまだ低く、この点については継続的な取り組みが必要です。
これからも当社ならではの強みと特徴を生かし、業界のリーディングカンパニーとして持続可能な社会の実現に大きく貢献すべく、取締役会としても経営を適切に監督し、しっかりと支援していきたいと考えます。
