最終更新:2026年9月

基本的な考え方

脱炭素社会への移行は、当社グループにとって事業リスクであると同時に、大きな成長機会でもあります。ニフコは、事業活動に伴うCO₂排出量を低減する活動と共に、イノベーションを通じ脱炭素社会に貢献する製品を開発し社会へ提供することこそが、持続可能な社会への貢献であり、当社の成長戦略であると考えています。CO₂排出量の削減を目的とした自動車の軽量化ニーズの拡大、電動車(xEV)の普及、データセンター等における省エネ・熱管理需要の高まりは、当社が長年培ってきた樹脂成形技術と機能部品の開発力を活かせる領域を広げています。

事業活動に伴うCO₂排出量低減 

自社排出(Scope1およびScope2)

現在、当社及び国内グループ会社のScope1及びScope2については、排出量を開示しています。これらの情報の把握・開示は、CO₂排出に関する規制強化や炭素税の導入による事業コストの上昇や、脱炭素化に向けた顧客・取引先からの期待の高まりに対し、影響の大きい分野や工程を特定して事前に対策を講じることにつながります。また、再生可能エネルギーの導入および効率的な設備投資や技術開発をすることで、競争優位性を維持することができます。よって、国内という限定的な範囲であっても積極的なデータ開示を行うことで、環境配慮を重視する顧客や投資家からの信頼を得て、ビジネス機会の拡大につなげ、将来的には連結会社全体への展開に資するものと認識しています。
なお、海外拠点からのデータについては、データ精度の観点から正式開示に至っていませんが、グローバルでのデータ精度向上と第三者保証に耐えうる水準の管理体制の整備を視野に入れ、2025年度より環境データ管理システムの導入を開始しました。今後は段階的に導入拠点数を拡大し、将来的なグローバル全拠点でのデータ一元管理を目指していきます。

サプライチェーン排出(Scope3)

サプライチェーン(Scope3)における排出量については、サプライチェーン全体における活動データの整備状況や管理方法にばらつきがあることから、現時点ではグループ全体で統一的に把握・算定することが困難です。そのため、本開示では当社(国内単体)のCO₂排出量を対象としており、2025年度の排出量は257,544.04トンでした。
算定はGHGプロトコルに基づき、主に発注金額を活動量として排出原単位を乗じる「支出額ベース」の手法により実施しています。支出額ベースの算定手法の特性上、為替変動や資材価格、輸送費等の変動が算定結果に影響を及ぼすため、実際のCO₂排出量との乖離が生じる可能性があります。今後は、重要関係会社との連携強化を行い、Scope3に関するデータの整備及び開示を段階的に検討していきます。


カーボンニュートラル実現に向けた活動

ニフコは、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの一環として、2025年度より工場・拠点横断型の「カーボンニュートラル活動」を開始しました。本活動では、「CO₂=コスト」という考え方のもと、製造現場における電力使用状況の分析や設備運用の見直しを進め、エネルギーロスの削減に取り組んでいます。これまで十分に把握できていなかった電力使用の実態を可視化し、設備の待機運転、稼働時間、設定値などの改善テーマを抽出しています。抽出したテーマについて、対策の実行と効果検証を継続的に行っています。
2025年度は、長期休暇期間中の設備運用見直しやコンプレッサーを中心とした省エネルギー活動を実施するとともに、活動を他拠点へ展開し、継続的な改善活動の定着を進めました。


再生可能エネルギーの利用促進|太陽光発電設備の導入

ニフコは、カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーの導入拡大を推進しています。2025年度は、再生可能エネルギー導入量が2024年度比で約4倍に拡大し、国内単体および国内子会社における再生可能エネルギー比率は4.4ポイント向上して6.1%となりました。この成果は、既設の再生可能エネルギー設備の活用に加え、名古屋工場における自己託送※の開始およびCO₂フリーメニューの導入、ニフコ北関東への太陽光発電設備の追加導入によるものです。
また、名古屋工場ではオンサイトPPAによる太陽光発電設備の導入も完了し、2026年4月からの運転開始を予定しています。これにより、再生可能エネルギー利用のさらなる拡大を図っていきます。ニフコは今後も、太陽光発電設備の導入や再生可能エネルギーの活用を進めることで、事業活動に伴う温室効果ガス排出量の削減を推進し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

  • 自己託送:自社の発電設備で発電した電気を送配電網経由で自社拠点へ送電する仕組み

FIT非化石証書の活用

Scope2に対しては、FIT非化石証書を21年度より継続して調達しています。FIT非化石証書は、FIT制度の対象となる再生可能エネルギー由来の電力が持つ環境価値を証書化したものです。証書を調達し、使用電力にその環境価値を充当することで、当該電力を実質的に再生可能エネルギー由来の電力として扱うことができます。2025年度は、Scope2排出量19,147.75t-CO₂のうち、1,063t-CO₂相当の使用電力にFIT非化石証書を充当しました。


脱炭素社会に貢献する製品・技術

当社グループのマテリアリティ「気候変動への対応」に対する、もう一つのサブ課題は、「環境性能を向上させる製品の開発」です。当社グループは、工業用ファスナーを起点として、自動車の内装・外装部品、ADAS関連部品、電動車(xEV)等のパワートレイン関連部品などを、エンジニアリングプラスチックを用いてグローバルに開発・製造しています。これらの製品は「軽い・錆びない・扱いやすい」という特長を持ち、自動車の軽量化や製造工程での作業性改善に貢献してきました。近年は、この軽量化技術そのものや空力抵抗の低減を実現する技術が、車両の燃費向上とCO₂排出量削減に直結する環境技術としての価値を高めています。中期経営計画「NIFCO GROUP GLOCAL STRATEGY」では、2035年の目指す姿として、「環境価値×機能価値×経済性」を両立するクリーン・テック開発・製造企業を掲げました。自社の環境負荷低減にとどまらず、環境性能の向上に貢献する製品を通じて、社会全体の脱炭素に寄与し、その需要拡大を事業成長の機会として取り込むことを目指します。
なお、当社は、自動車の車系に拘わらず常に求められる「環境」・「安全」・「快適」をテーマとした普遍的価値製品に開発資源を重点的に投入しており、自動車一台当たりの当社製品搭載金額における普遍的価値製品の比率を2028年度に27%、2034年度に40%まで引き上げることを目標に設計開発・営業活動を進めております。

■ 主な貢献領域

  • 自動車の軽量化・空力:燃費向上・CO₂排出量削減に貢献する軽量化部品・空力関連部品

  • 電動化への対応:電動車(xEV)に搭載されるパワートレイン関連部品等の機能部品

  • 省エネ・熱管理領域:データセンター向けの水冷用樹脂マニホールド等、電力効率の向上に資する熱管理製品

■ 代表的な製品例

製品

脱炭素への貢献領域

主な環境ベネフィット

ABSアクチュエーターブラケット 自動車の軽量化・空力

ABSアクチュエーターの金属ブラケットを樹脂化し、耐熱性・振動耐久性を維持しながら約60%の軽量化を実現。車体の軽量化を通じて燃費向上とCO₂排出量削減に貢献しています。

フロントスパッツ 自動車の軽量化・空力

車体前方からの風を床下やタイヤ方向へ導き、空気抵抗を低減。走行時の空力性能を高めることで燃費向上とCO₂排出量削減に貢献しています。

ダクトエア 自動車の軽量化・空力

車両前方からの風が入り込むことでバンパーへの空力抵抗を低減し、吸気した風をホイールアーチから放出することで渦流を防止して空力性能を向上させ、燃費向上とCO₂排出量削減に貢献しています。

FCV(燃料電池車)向け部品群 自動車電動化への対応

長距離のゼロエミッション走行が可能なFCVのパワートレイン構成部品として、FCスタックの冷却水経路等に採用。FCVの普及を通じて、大気汚染防止とCO₂排出量削減に貢献しています。

圧力開放弁 自動車電動化への対応

リチウムイオン電池パックの緊急時に内圧を逃がす防爆弁・安全弁。延焼や車両炎上を防止し、xEVの安全性向上と普及に貢献します。

冷却配管 自動車電動化への対応

電池パック・充電口等の冷却水経路を樹脂化して車両を軽量化。流路形状の最適化により圧力損失を低減し、ポンプの出力低減・小型化を通じてCO₂排出量削減に貢献します。

水冷用樹脂マニホールド(データセンター向け) 省エネ・熱管理領域

発熱量が増えるサーバーの冷却水を供給・分配する樹脂製部品。金属品よりも軽量であることに加え、当社独自のワンタッチ締結構造によりラックサイズに応じた設置の自由度を高めています。データセンターの電力効率の向上に資する熱管理製品として、2026年度中の市場投入を目指しています。


当社は、自動車市場における電動化をはじめとする構造変化や、熱マネジメントを必要とするデータセンター等の新市場拡大を成長機会と捉え、CO₂削減に資する新型車両向け部品および省エネ・熱管理製品の開発・供給体制を強化していきます。

脱炭素に貢献する製品・技術の開発方針と開発体制

当社グループは、環境性能の向上に資する製品を継続的に生み出すため、研究開発へのリソース投入を強化しています。第74期(2026年3月期)における研究開発費の総額は4,419百万円であり、その大部分を主力の合成樹脂成形品事業に充て、重点的に軽量化・空力、電動化、省エネ・熱管理に関する製品開発を強化しています。
開発体制としては、自動車の内装・外装・ADAS関連・プラットフォーム各領域を担う商品開発部門と、解析・評価・分析・要素開発を担う基盤技術部門が連携し、論理的かつ効率的に開発を進める体制を整えています。さらに、自動車事業で培った流体制御や冷却締結などの要素技術を、データセンター向けの水冷用樹脂マニホールド等、電力効率の向上に資する新たな領域へと展開しています。

今後のロードマップ

当社グループは、長期ビジョン「NIFCO GROUP VISION 2035」の実現に向け、中期経営計画を3つのフェーズに分けて段階的に取り組んでいます。フェーズ①(2026〜2028年度)では2028年度に売上高4,000億円を計画し、2035年には売上高5,000億円の達成を目指しています。この成長の中で、当社は、「化石由来のCO₂排出量削減」と「環境性能を向上させる製品の開発」の両面を進め、2050年のカーボンニュートラルと持続的な事業成長の両立を目指していきます。

■ 化石由来のCO₂排出量削減(自社排出)

達成年度

内容

2028年度

• 再エネ比率を2020年度比で10%以上に向上
• CO₂排出量を2020年度比20%削減

2030年度

• 内製工場での使用電力の再エネ化100%(特定顧客向け製品の製造分を対象)
• CO₂排出量を2020年度比33%削減

2034年度

CO₂排出量を2020年度比50%削減

2050年度

カーボンニュートラルの実現(Scope1・2)


■ 環境性能を向上させる製品の開発(製品貢献)

達成年度

内容

2028年度

脱炭素貢献製品群の搭載比率拡大と供給・開発体制の強化を推進。普遍的価値商品の平均原単位割合27%を基盤として、その比率向上を図ります。

2035年度
(長期ビジョン「NIFCO GROUP VISION 2035」の到達年)

軽量化・電動化・省エネ/熱管理領域での製品・技術開発を積み重ね、脱炭素社会への貢献と事業成長の両立を目指します。