最終更新:2026年10月
基本的な考え方
循環型社会への移行は、当社グループにとって事業リスクであると同時に、大きな成長機会でもあります。ニフコは、事業活動に伴う廃棄物発生を抑制する活動と共に、使用済み資源を再び価値ある資源として活用するための循環型社会の実現に向けた技術開発が、持続可能な社会への貢献であり、当社の成長戦略であると考えています。
近年、欧州を中心に資源循環に関する規制強化や再生材利用拡大の顧客要望が高まる中、高品質な再生プラスチックの安定確保が重要な課題となっています。再生プラスチック需要の拡大に対し、廃車や使用済み自動車部品から回収されるプラスチックだけでは、必要量を十分に確保することが難しくなると見込まれており、容器包装や建設資材など、他産業から発生する使用済みプラスチックについても、自動車部品向け再生材として活用していく必要があります。当社が長年培ってきた材料開発ノウハウと様々な樹脂材料をカタチにする成形技術は、多様な再生材を使いこなし、循環型サプライチェーンを構築するうえで活かせる領域を広げています。
ニフコが目指すこと
当社グループは、マテリアリティの一つに「廃プラスチック量ゼロに向けた資源循環への取り組み推進」を掲げており、そのサブ課題として「廃プラスチック量削減」「再生材の品質・安全基準の確立」「主材領域における再生材確保」を推進しています。
これらのサブ課題に基づき、合成樹脂事業の国内単体及び国内子会社を対象に、2028年度に廃プラスチック量を2020年度比で55%削減すること、2030年度までに再生材使用製品の品質管理体制を確立し、法規違反ゼロを維持すること、及び主材領域において再生プラスチック材の必要量の120%以上を常時確保することを目標としています。あわせて、欧州ELV規則及びJAMA CN/CE指針への対応を見据え、再生材の確保と循環型サプライチェーンの構築を進めており、また、再生材を活用した製品開発を通じて社会全体の資源循環に寄与し、その需要拡大を事業成長の機会として取り込むことを目指します。
廃プラスチック削減に対する取り組みと排出量の推移
当社グループは、製造段階で発生する廃プラスチックの削減に加え、分別強化による有価物への転用を進めています。廃プラスチック量の実績は以下のとおりです。2024年度より開示範囲を国内単体および国内子会社を含む全拠点へ拡大し、廃プラスチックを主要指標として管理しています。2028年度に廃プラスチック量削減目標(2020年度比で55%減)に向け、引き続き分別の徹底や有価物への転用を進めるとともに、これらの取り組みを各拠点でさらに加速していきます。また、ベッド及び家具事業(シモンズ株式会社・小山工場)においては、上記とは対象・目標の異なる取り組みとして、廃棄ウレタン量の削減にも取り組んでいます。

範囲:国内単体および国内グループ会社(シモンズを除く)
※過年度の廃棄プラスチック量については、データの収集・集計方法を見直し、再集計を行っています。そのため、過去の公表数値と一部差異が生じています。
再生材の品質・安全基準の確立と資源循環に貢献する製品・技術開発
ニフコは、再生プラスチック材、天然資源(バイオマス)を利用した材料を活用し、従来の材料と同等以上の品質・安全性を確保するための材料開発や工法開発に取り組んでいます。これらの取り組みを通じて、再生材の利用拡大と製品性能・品質の両立を図り、資源循環に貢献する製品群の拡充を目指しています。また、開発・設計段階から製品ライフサイクル全体を通じた環境負荷低減に配慮した設計を推進し、締結部品のモノマテリアル化(単一素材化)や、電動工具を用いないワンタッチ締結による易解体・リユース設計を進め、マテリアルリサイクルの促進とリサイクル性の向上にも取り組んでいます。
■ 主な貢献領域
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再生材・バイオマス材料の活用:再生プラスチック・バイオマス由来材料を採用し、欧州ELV規則等の再生材利用要求に対応
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再生材の品質・安全の確保:使いこなし技術と品質保証により、自動車部品に求められる品質・安全性を確保
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リサイクル性・易解体設計:モノマテリアル化(単一素材化)や電動工具を用いないワンタッチ締結構造により、製品の易解体性・リユース性を高め、車両のリサイクル性向上に貢献
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循環型サプライチェーンの構築:産業連携とトレーサビリティ(CoC)を通じて、多様な廃プラスチックを自動車部品へ再生するネットワークを広げ、社会全体の資源循環に貢献
■ 代表的な取組み・製品例
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資源循環への貢献領域 |
取組み・製品 |
主な内容・環境ベネフィット |
|---|---|---|
| 再生材・バイオマス材料の活用 | 生分解性プラスチックファスナー(ブラッシュクリップ) |
非可食植物由来のセルロース等を配合した生分解性プラスチック製ファスナー。生産時のCO₂発生量が少なく、使用後は水とCO₂に分解されます。非化石(植物由来)資源の活用により、化石資源への依存低減と環境負荷の低減に貢献します。 |
| 再生材・バイオマス材料の活用 | 再生材採用製品の開発 |
再生プラスチックを採用し、自動車部品に求められる品質・安全性を確保した製品の開発を推進。2028年度中の市場投入を目指しています。 |
| 再生材の品質・安全の確保 | 再生プラスチックを使いこなす技術の確立 |
原料の由来や品質にばらつきが生じやすい再生プラスチックを使いこなす技術を確立、再生材活用に関する社内規程を策定、品質保証体制を整備し、自動車部品に求められる品質・安全性を確保した再生材製品の開発を進めています。 |
| リサイクル性・易解体設計 | パッキンレス・バンパーリテーナー |
ゴムパッキンを用いず、グロメットと一体成形の薄肉フランジで止水性能を確保。締結ピンを含めた単一素材化(モノマテリアル化)と、電動工具を用いないワンタッチ締結による易解体・リユース設計により、車両のリサイクル性向上に貢献します。トヨタ自動車のCROWN ESTATE等に搭載。 |
| リサイクル性・易解体設計 | 環境配慮型設計(ライフサイクル配慮) |
ライフサイクル全体で環境負荷低減に配慮した設計を推進し、環境配慮型製品を提案しています。 |
| 循環型サプライチェーンの構築 | Car to Car |
廃車から発生する廃プラスチックを自動車部品へ循環させる取り組みを各自動車メーカーと協業しながら推進しています。 |
| 循環型サプライチェーンの構築 | X to Car※(産業連携型リサイクル) |
自動車以外の産業から発生する廃プラスチックを自動車部品へ循環させる取組み。トレーサビリティ(CoC/ISO 22095)の確保を含む循環型サプライチェーンの構築を推進しています。詳細は「主材領域における再生材確保」を参照。 |
| 循環型サプライチェーンの構築 | 半導体由来廃プラスチックの資源循環(九州地区) |
非自動車由来の廃プラスチックを自動車部品へ循環させる取組み。詳細は「主材領域における再生材確保」を参照。 |
※X to Car:非自動車由来の廃プラスチックを自動車部品に再生する新しいリサイクルシステム。
主材領域における再生材確保
2025年度、ニフコは自動車以外の産業から発生する廃プラスチックを自動車部品へ循環させる「X to Car」の考え方に基づき、国内で2つの資源循環スキームの構築に取り組みました。
一つ目の取り組みとして、公益財団法人自動車リサイクル高度化財団(J-FAR)の助成を受けた「X to Carプロジェクト」を推進しました。リサイクル事業者、材料メーカー、大学、IT企業などと連携し、自動車向け再生プラスチックの供給基盤構築に取り組み、容器包装プラスチック、製品プラスチック、建設資材由来プラスチックなどを対象に、自動車用途への適用可能性を評価しました。また、回収・選別から再資源化、材料化、部品製造に至るサプライチェーンの構築を進めるとともに、再生材の品質管理やトレーサビリティ確保に向けたデジタル基盤の整備にも取り組んでいます。2025年度には自動車用途に適用可能な廃プラスチックの種類を1種類選定し、2026年度は中型製品への適用および対応可能なプラスチック種類のさらなる拡大を目標に、検討を進めています。
二つ目の取り組みとして、九州地区において半導体産業から発生する廃プラスチックを自動車部品へ循環させることを目指した共同研究を開始しました。熊本を中心とした半導体産業の集積に着目し、異業種間で資源を循環させる新たな資源循環モデルの構築に着手しており、再生プラスチックの新たな供給源確保と地域循環モデルの実現を目指しています。ニフコは今後も、産業横断的な連携を通じて資源循環ネットワークの拡大を図り、再生プラスチックの利用拡大と安定調達を推進することで、持続可能なモビリティ社会の実現に貢献していきます。
資源循環を支える体制と連携
社内にとどまらず、取引先との連携を通じて、廃棄物排出量の抑制、再資源化の推進、リサイクルの促進をサプライチェーン全体で進めています。また、産官学連携(環境省・経済産業省)や一般社団法人日本自動車部品工業会(JAPIA)との連携に加え、Sustainable Plastics Initiativeに賛同し、業界全体でのサーキュラーエコノミーへの移行に取り組んでいます。
推進体制(ガバナンス)としては、廃プラスチック削減・再生材活用に関するリスクをリスクマネジメント委員会が、再生材を活用した製品開発等の機会をサステナビリティ委員会がそれぞれ管理し、取組み状況を経営会議に報告・提言しています。
水資源の有効活用と汚染防止
ニフコは、事業活動で使用する水の量を把握し、節水および排水の汚染防止に取り組んでいます。国内単体および国内子会社で使用する水の主な水源は上水道です。当社の水使用は主にトイレ等の生活用水であり、製造工程での使用はほとんどありません。一部の製造工程においては、空調機や成形機、恒温槽などで冷却水を使用しますが、生産工程の効率改善や雨水の利用などで使用量削減に努めるとともに、排水基準を遵守して公共水域に悪影響がないようにしています。このような水使用の実態を踏まえ、現時点では水使用量に関する個別の数値目標は設定していません。一方で、水資源の適切な管理は重要であると認識しており、引き続き水使用量の把握・管理を行うとともに、雨水利用や節水活動を通じた使用量の削減、および水質汚濁の防止に取り組んでまいります。

範囲:国内単体および国内グループ会社(ISO14001認証取得拠点)
※過年度の水使用量については、環境データ管理システムの導入に伴い、データの収集・集計方法を見直し、再集計を行っています。そのため、過去の公表数値と一部差異が生じています。
雨水利用システムの活用
本社および技術開発センター(NTEC)では、雨水を地下貯水槽に一時貯留した後、ろ過・消毒処理を行い、トイレの洗浄水として利用しています。トイレの洗浄用途では雨水でも十分に活用できるため、この取り組みにより上水道使用量の削減を図っています。その結果、2025年度は、本社および技術開発センター(NTEC)において、雨水利用により上水道使用量を合計1,395㎥削減しました。

本社にある雨水のろ過システム
今後のロードマップ
当社グループは、循環型社会への貢献に関する主要な目標を以下のとおり設定し取り組んでいます。対象・範囲は、特記のない限り、合成樹脂事業の国内単体および国内子会社です。
■ 廃プラスチック量削減
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達成年度 |
内容 |
|---|---|
| 2028年度 |
廃プラスチック量を2020年度比55%削減 |
| 2030年度 |
廃棄ウレタン量を2025年度比50%削減(対象:シモンズ株式会社・小山工場) |
| 2034年度 |
廃プラスチック量を2020年度比70%削減 |
■ 再生材の品質・安全基準の確立、主材領域における再生材確保
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達成年度 |
内容 |
|---|---|
| 2027年度 |
再生材比率を考慮した製品開発 |
| 2028年度 |
再生材比率25%以上の製品市場投入 |
| 2029年度 |
欧州ELV規則への対応に向け、2029年度に立ち上げ予定の指定車型を対象に、再生材の適用準備を進める |
| 2030年度 |
再生材使用製品の含有化学物質管理体制を確立し、法規違反ゼロを維持 |
| 常時 |
主材領域における再生プラスチック材確保(必要量の120%以上を確保) |
